「陛下、お聞きおよびになりまして? 離宮に逃げ込まれたあのかたのことですけれど、最近、画家を召し出しておられるそうですわ」 「画家を? なんのために」 愛妾の肩を抱き、彼女と同じくらいしたたかに酔っぱらった国王が尋ね返す。 ねえファラン夫人、過保護と思う?」 「いいえ」 「そう? あなたの目は確かだから、やはりそれだけ連中がひどいということなんでしょうね」 一人息子である王太子を案じる様子は一人の母親だが、心配げな言葉を吐く時の王妃は、勝ち誇ったような笑みだった。 その美凰の奇しき力を恐れ 皇帝が封じようとしたことで 異能に目覚めてしまった彼女だけ 『不老不死』死ねない体になってしまった美凰… それをいいことに皇帝は 何度も美凰を処刑しました… 体を裂かれたり、切られたり、潰されたり… 死んだほうがましだという苦悩を。 その、あなたから見た王妃様のお姿を知りたいのです! あなたの前での王妃様は、どのような方ですか?」 「私から見た、だと? そうだな」 怒りを収めた武官は、やはりしばらく時間を置いたあと、こう言った。 その後、湯氏の嫉妬により 妃たちに朝礼をボイコットされたり 相変わらずの日々のなか ある日、死んだはずの雪峰の姿が… …出会った頃の雪峰の様子が描かれるのですが、 本当はとても優しい人だった雪峰。 』 と…美凰は覚悟を決めたのですが 天凱は 『処刑するために来たのではない 助けて欲しい。 やはりあれほどモデルが動くとなると、そのたびに集中が途切れて」 「殿下の責任だと言いたいのか? 貴様」 「ゲオルグ?」 顔色を変えた武官を止めたのは、王妃本人だった。 風邪のような症状から進行していき 様々な苦しみの症状を経て、昏睡状態に陥り 目を覚ますと 『鬼(ばけもの)を見た』 と恐怖の形相で訴える… 死に至るまで10日~20日 この国を食い荒らす恐ろしい疫病… そして、貧民など替えがきくと言い 何の対策もしない高官たち。 「何をぼんやりなさっているのです?」 「だって……あの絵が気になって」 「絵? ああ、妃殿下の」 王太子の勉強部屋には、先日王妃から贈られたばかりの肖像画が掛っていた。 「……! で、ですぎたことを申しました!」 「へ?」 「どうかお許しを」 画家は目をまたたかせる。.
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